先々シーズン、Doberman M5-LCをほぼノーマルの状態で1シーズン履くことができたため、今シーズン導入したDoberman M5-Sでは大掛かりなフィッティング加工は行わず、主にカント調整を中心としたチューンをシーズン前に実施した。※詳細は「黒犬調教 カント・ランプ角編」参照
加工を終えた時点では、「これで完璧だ」と思っていた。
ところが、シーズン初日。ロッジでブーツを履いて立ち上がった瞬間から違和感があった。
ブーツソールをフラットに踏めない。
左右とも極端に内エッジ側へ傾き、まともに立てない感覚がある。
とてもそのまま滑る気にはなれず、まずアッパーシェルのカントをデフォルト値(−1度)へ戻した。
とりあえずその状態で試走したが、シーズン初日ということを差し引いてもポジションが定まらない。
脛から伝わるレスポンスは妙にシビアなのに、足裏の感覚は薄い。
アッパーの締め過ぎを疑い、第3・第4バックルを少し緩めてみたが大きな変化はない。
スキーのスイートスポットから外れやすく、やや強引に乗り込んでも、足首に問題を抱える左足は思うようにエッジが立たず、スキーはシェーレンになりやすい。
そもそも、これらの症状を改善するために行ったチューンだった。
| 膝の向きは正しいが |
むしろ違和感ばかりが増えていた。
ここから約1か月にわたる試行錯誤が始まる。
結果から言えば、シーズン前に「完璧」と思っていたチューンは、膝の向きなどを基準に合わせた一般的な「静的ポジション」の考え方によるものだった。
一方で、最終的にたどり着いたのは「動的ポジション」を基準としたチューンだった。
「動的ポジション」とは何か。
これは今シーズン、ChatGPTと議論を重ねる中で整理されていった、あくまで私自身の考え方である。
一般的なカント調整は、立位姿勢での膝や脚の向きを基準に行われることが多い。
しかし実際の滑走では、左右の関節可動域や筋力、過去のケガによる制限などによって、身体は静止時とは異なる動きをする。
私の場合、幼少期の骨折による左足首の可動域制限が大きく影響していた。
そのため、静止状態では整って見えるアライメントでも、実際に滑り出すと左右差が発生してしまう。
そこで最終的には、立った状態の見た目ではなく、「実際に動いた時に身体がどう使われるか」を基準にカントを調整する方向へ考え方を変えた。
私はこれを便宜上「動的ポジションによるチューン」と呼んでいる。
明確な計測方法があるわけではない。
しかし、自身の可動域や身体的な左右差を考慮し、実際に動いた時のズレを埋めるように調整していく考え方だ。
そして、この考え方に切り替えてから、ブーツはようやく自分の身体に近づいていった。
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