備忘録6 2025-2026シーズン「踏むスキー」から「乗るスキー」へ

 今シーズンはブーツチューンを詰めていく過程で、スキー技術に対する考え方や操作感覚も大きく変化した。

もっとも、内面的な感覚ほどには映像に映る滑りが劇的に変わったわけではない。しかしシーズン最後にはクラウンプライズ合格という結果を得ることができた。少なくとも、自分が進めてきた技術的な探究の方向性は大きくは違っていなかったのだと思う。

来シーズン以降も忘れないよう、今シーズンに得た操作感覚の変化を備忘録として残しておきたい。

今シーズンの取り組みの3つの基軸のうち、特に自身の操作感覚についての変化である。

シーズン当初の課題は大きく3つ。

  • 外足に乗る
  • 始動を早くする
  • 短く強いエッジング

ストックワークや構え、大回り・小回り、コブや急斜面への対応など個々の修正点を上げていったらキリが無く、それらを個別に修正するよりも、自分のターンの本質的な操作感覚を見直すことこそが技術向上につながると考え、自分なりに試行錯誤を続けた。

※ブーツチューンもその一環。スキーのセンターに荷重をかけ続けられるポジションを維持することを目的に、足裏の圧がブーツセンターから外れないような足の収まり方を目指して調整を行った。

その結果たどり着いた操作感覚を忘れないよう、ここに書き留めておく。

1:外足に乗るという操作感覚

シーズン前半

「荷重=足で踏む(脚を伸ばす)」というイメージが抜けなかった。


足で踏む
  ↓
身体がスキーから離れる
  ↓
内倒する
  ↓
外足が軽くなる
  ↓
外足に乗れない


という悪循環だった。

シーズン後半

「加重」ではなく「荷重」という考え方に修正した。

基本的に自ら押すという動作を一切やめ、自重と位置エネルギーを利用して身体を次のターンの谷回り方向へ運ぶことだけを意識した。


足で踏まない

   ↓

スキーの中心に乗る(スキーの中心に重心を運ぶ)

   ↓

身体がスキーに近づく

   ↓

外足に荷重が集まる

   ↓

スキーがたわむ

   ↓

必要十分にスキーの角が立つ

   ↓

たわみの戻るスキーに乗っていく


身体をスキーのセンターから外さないように移動させることで、結果として外足に荷重が集まる。

するとターン中の遠心力やスキーからの反力によって自然と圧が生まれ、自らのアクションは最小限になり、ターン弧もコンパクトにまとめられるようになった。

2:始動を早くするという操作感覚

シーズン前半

早い切り替えとは、

「早く次のターンを始める」
    ↓
「早くエッジを立てる」

ことだと考えていた。

しかしそのイメージでは、


谷回りからインエッジが立つ
   ↓
内向・内倒する
   ↓
谷回りがなくなる
   ↓
山回りが長くなる
   ↓
切り替わらない

という状態になっていた。


また圧が溜まり切るまでターン後半を引っ張るため、上体が山側に残り、結果として次のターンへ移れなくなっていた。

さらにエッジだけが立ち、スキーが十分にたわまず、丸いターンにもなりにくかった。

シーズン後半

「始動を早くする」ではなく、

「ターン後半(山回り)を早く終わらせる」

という考え方に修正した。


谷回り(ターン始動)は小指側に重心を運ぶ

   ↓
スキーの中心に乗る

   ↓

スキーがズレながらたわむ

   ↓

スキーがフォールラインを向くあたりから親指側に重心が移動

   ↓

山回りが始まる

   ↓

最大荷重・最大角度になる少し前にエッジングをやめる

   ↓

スキーの性能で切り替わる


ターン後半を引っ張らず、山回りを5時あたりで終わらせる。イメージ的にはフォールラインを向いたらエッジングを止める位。

すると結果として次のターンが1時付近から始まるようになり、切り替えそのものが早くなった。

始動を早くするのではなく、終わりを早くする、エッジングそのものも短くすることで始動が早くなるという感覚。

3:短く強いエッジングという操作感覚

シーズン前半

僕はどちらかと言えば、タイミングで乗るのではなく、スキーの圧変化やたわみの変化で乗るタイプなので「外足荷重」でも書いたが、

「エッジング=加圧」

だと考えていた。

具体的には母指球と踵を結ぶ縦アーチのラインで踏み込むようなイメージで、

「短いエッジング=早く強く踏むこと」

だと思っていた。

しかし、いくら強く踏んでもエッジはかえってズレ、思うような結果にはならなかった。

シーズン後半

エッジングを「加圧する作業」として考えることをやめた。

基本的な考え方は、

「自重をスキーセンターに対して垂直に乗せる」

だけ。角(エッジ)も立てない。

どれだけ硬いアイスバーンでも、人は斜面に立っていることは大体できる。まずはその状態をエッジングのベースとした。

一方で、エッジングは雪面に対する角度も必要であり、これはスキーの傾きやブーツの角度、エッジチューンなど様々な要素の影響を受けるが、自身で行う操作として考えた場合、スキーのソール面に対して垂直方向へ荷重すること以外に、意図的な多方向からの入力はあまり必要ないのではないかという考えに至った。

ブーツチューンも同様に脛、踵、ブーツセンター、スキーセンターが一直線のエネルギーライン上に並ぶことを理想とした。

結果として、

「エッジングをする」

という意識ではなく、

「スキーの面の中心に身体を乗せる」

という感覚へ変わっていった。

必要なエッジ角や圧は、自分が作るのではなく、スキーが移動する中で生じる外力によって自然に決まってくるものだと考えるようになった。

まとめ

シーズンを通して振り返ると、外足荷重も、早い始動も、強いエッジングも、結局は何かを強く行うことではなかった。

むしろ、自分で操作しようとする意識を最小限にし、身体をスキーのセンターから外さずに運び続けること。

その結果として荷重もエッジ角もターン弧も生まれてくる。

今シーズンは、そんな操作感覚への修正を続けた一年だったように思う。


追記:3つの意識の変化の他、今シーズン意識するようになったのが、「足の指」の操作感覚だ。当初は自分の足の変形を治す日常的なエクササイズとして小指を使うように努め、壊れがちな横アーチを鍛えるようにしていたのだが、ブーツの中での小指の動きをすごく意識するようになった。すると内足の操作感覚が変わり、結果外足の操作感覚も上記のように代わったような気がする。

ブーツのチューンでも、タイトなDoberumanとはいえ、指の可動域を確保するチューンを心がけた。

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