| 手作りブーツオープナー |
今回、これまでとの決定的な違いは「動的チューン」という考え方だった。
一般的なカント調整は、立位姿勢での膝や脚の向きを基準に行われることが多い。ある意味、それが正解とされている世界だ。 カントを調整する方法もさまざまで、アッパーシェル、インソール、ゼッパ、ブーツソールなど、調整可能な箇所は数多い。さらに、チューナーごとに考え方や手法も異なる。
ただ、素人が自分で行う場合は、元に戻せる加工であることが重要だ。特に今回のように滑りながら調整を繰り返す場合、一度加工したら戻せない方法は避けるべきだろう。
今回手を加えたのは主に次の3点。
・アッパーシェルのヒンジカントによる角度調整
・ゼッパの削りによる高さ調整
・ゼッパに貼り付けた自作カントプレートによる調整
※インソールではカント調整を行わず、前後左右の高さが変わらないプロパーモデルをあえて選択した。
こうして書き出してみると些細な加工に見える。しかし、これらをミリ単位で追い込む作業は想像以上に骨が折れた。しかも静的チューンと違い、結果は実際に滑ってみなければ分からない。 毎回滑りを動画で撮影し、加工内容と滑走感覚をChatGPTに相談しながら方向性を詰めていった。
最終的に落ち着いた仕様は以下の通り。
- 【アッパー】 インナーを抜き、ゼッパの上にインソールを置いた状態で脛とアッパーシェルの隙間が均一になるようヒンジカントを調整。 現在の脛の角度を邪魔せず、自然に動ける位置で固定。
- 【ゼッパ】 踵部をフラットに2mm削った状態から、最終的には1mmまで戻した。 踵の安定感は向上したものの、ランプ角が減少したことでわずかに上体が後方へ引かれる感覚があったためだ。結果として高さはほぼデフォルトで良かった。
- 【カントプレート】 当初は左右とも内側を2mm持ち上げる仕様だったが、最終的には外側を持ち上げる方向へ変更。 左1mm、右0.5mmの外上がりで落ち着いた。
以前も書いた通り、私は幼少期の骨折の影響で左足のつま先が外を向いている。その補正として、内側を高くして甲をやや外に振ることでつま先の補正を行っていた。 しかし実際には、私の左足はつま先だけでなく足首そのものが極端に回外しやすく、回内しにくい特性を持っていた。 つまり内側へ荷重しづらく、常に足の甲が外を向きやすい。結果として足首も緩みやすい状態だった。
これはブーツを履いていない状態でも確認できた。 そう考えると、これまで行ってきた「内側を上げるカント調整」は、むしろ足首を緩ませる方向に働いていた可能性がある。
その結果、足首が入りにくい足を、よけい足首の入らない方向への調整をしていたため、本来なら足裏で作るべきエッジングを、脛を倒し込むことで代償していた。左足に見られたX脚傾向も、その影響と分析できる。
そして、このカント加工が見事にはまった。 ただ、劇的にインエッジが踏めるようになったとか急激な変化があったわけでわない。 ただ、荷重が驚くほど自然になった。長年悩まされていた左足のX脚、シェーレンもほぼ消えた。
少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、左右ともブーツの存在が消え、まるでスキーに直接乗っているかのような感覚だった。
その後もフィッティング調整は多少追加したが、少なくとも主要なカント調整については、この時点で完成形に到達したと思っている。
追記:以前のチューンの基準である膝の向きは、かなりブーツセンターから外れる結果にはなったが、静的な立位姿勢を整えるのではなく、滑走時にブーツからどのように圧が伝わるかを考えてチューン・調整をすると言うことが重要で、このような詰め方は自分でやるからこそ出来るチューンだと思う。
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