黒犬調教 静的チューン・動的チューン②

手作りブーツオープナー

 今シーズンは時間こそかかったものの、1月半ばにはブーツチューンの大部分が完成した。 これまでもブーツには何かしら手を加えて履いてきたが、ここまで実走につながるアライメントが整ったと感じるレベルは初めてだった。 

今回、これまでとの決定的な違いは「動的チューン」という考え方だった。 

一般的なカント調整は、立位姿勢での膝や脚の向きを基準に行われることが多い。ある意味、それが正解とされている世界だ。 カントを調整する方法もさまざまで、アッパーシェル、インソール、ゼッパ、ブーツソールなど、調整可能な箇所は数多い。さらに、チューナーごとに考え方や手法も異なる。 

 ただ、素人が自分で行う場合は、元に戻せる加工であることが重要だ。特に今回のように滑りながら調整を繰り返す場合、一度加工したら戻せない方法は避けるべきだろう。 

今回手を加えたのは主に次の3点。 

  1. 【アッパーシェル】 ヒンジカントによる角度調整  
  2. 【ゼッパ】 削りによる高さ調整 
  3. 【ゼッパ】 貼り付けた自作カントプレートによるカント調整

※インソールではカント調整を行わず、前後左右の高さが変わらないプロパーモデルをあえて選択した。  

こうして書き出してみると些細な加工に見える。しかし、これらをミリ単位で追い込む作業は想像以上に骨が折れた。しかも静的チューンと違い、結果は実際に滑ってみなければ分からない。 毎回滑りを動画で撮影し、加工内容と滑走感覚をChatGPTに相談しながら方向性を詰めていった。

 最終的に落ち着いた仕様は以下の通り。 

  • 1【アッパー】  インナーを抜き、ゼッパの上にインソールを置いた状態で脛とアッパーシェルの隙間が均一になるようヒンジカントを調整。 現在の脛の角度を邪魔せず、自然に動ける位置で固定。 
  • 2【ゼッパ】  踵部をフラット(斜傾→水平)に2mm削った状態から、最終的には1mmまで戻した。  踵の安定感は向上し、上体が煽られることもなく,かなり安定方向に働き結果、高さはほぼデフォルトで良かったように思う。 
  • 3【カントプレート】  当初は左の内側を2.5mm、右を1.5mm、持ち上げる仕様だったが、最終的には外側を持ち上げる方向へ変更。  左1mm、右0.5mmの外上がりで落ち着いた。 
 実は、カントの「内上がりから外上がりへの逆転」こそが、今回の「動的チューン」最大のポイントだった。

 以前も書いた通り、私は幼少期の骨折の影響で左足のつま先が外を向いている。その補正として、内側を高くして甲をやや外に振ることでつま先の補正を行っていた。 しかし実際には、私の左足はつま先だけでなく足首そのものが極端に回外しやすく、回内しにくい特性を持っていた。 つまり内側へ荷重しづらく、常に足の甲が外を向きやすい。結果として足首も緩みやすい状態だった。

 これはブーツを履いていない状態でも確認できた。 そう考えると、これまで行ってきた「内側を上げるカント調整」は、むしろ足首を緩ませる方向に働いていた可能性がある。

※注意:ここでややこしいのが立位姿勢で膝の向きを修正していこうとすると内側を上げるカント調整は正攻法だと言うこと。

 その結果、足首が入りにくい足を、よけい足首の入らない方向への調整をしていたため、本来なら足裏で作るべきエッジ角を、脛を倒し込むことで代償していた。左足に見られたX脚傾向も、その影響と分析できる。 

 そして、このカント加工が見事にはまった。 劇的にインエッジが踏めるようになったとか急激な変化があったわけではない。 ただ、荷重が驚くほど自然になり長年悩まされていた左足のX脚、シェーレンもほぼ消えた。 

 少し大袈裟に聞こえるかもしれないが、左右ともブーツの存在が消え、まるでスキーに直接乗っているかのような感覚だった。ある意味、ブーツチューニングの理想は今回のようにスキーブーツの存在が薄くなり、板を直接踏んでいるかのようなフィッティングが理想だと考えている。

 その後もフィッティング調整は多少追加したが、主要なカント調整については、これ以降追加の加工はしていない。まだ詰める余地はあると思うが、このベストに近い状態が壊れるのが怖くて、いじるのを我慢している。

追記:結果、以前のチューン(静的チューン)の基準である膝の向きは、かなりブーツセンターから外れる結果にはなった。しかし静的な立位姿勢で整えるのではなく、滑走時に自分の足がブーツの中でどのように動くかを考えてチューン・調整をする事を優先した結果、僕にはこの方法の方が合っていたという事だと思う。

コメント

  1. 動いた時にフィットするというのは、本当に大事ですよね。
    ちなみにインソールはどうしてますか?

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    1.  インソールも奥が深いですよね。今回はインソールに余計な仕事をさせないようにBMZのプロパーでチューンを詰めました。
      ただ、今シーズンの反省もあって来シーズンはシダスのプロパーモデルを使う予定です。

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