2013/05/09

TLTシステム[インプレッション]


やっぱり良いね・・・TLT。

今回、立山で本格投入したTLTシステム&VOILEアイゼン

ブーツ:DYNAFIT TITAN U.L.1750g)
ビンディング:DYNAFIT TLT Vertial ft12(500g)
クランポン:VOILE(300g)

アイゼン以外はDYNAFITメイドの純正仕様
1/2ペアで2250g!!(クランポン付きで2520g)

アルペンならビンディング分がまるまる無い感じ。

※テックシステムは複数、他メーカーからも出ているが、ブーツとビンディングの相性に若干の仕様差があるようだ。
DYNAFITではDYNAFITと同じ製造工程を保証しているのはSCARPATECNICAのみ

立山では、雪の状態から室堂のスタートからクランポンを付けてスタートした。

正直、直着けのクランポンは硬い雪の場合は特にビスの抜ける方向に力が掛かるためインビス化してある事もアリ、少し心配だった。
※VOILETのでフォルトの木ネジは山も大きく長さもテレマーク用の様に長い。
※バロンなどのプレート下に取り付けるクランポンと違い、雪面に刺さるエネルギーを支える部分が無く、すべて2本のネジに負担がかかり易い。

雪は絞まり雪で、山の上部はアイスである事が予想された。

斜面に取り付くと、シールとクランポンであれば問題ない斜面だが、
クランポン無しのメンバーは早くも横に切って行かないと行けないくらい
斜面はアイシーだった。

そんな斜面でも直着けのクランポンは圧倒的な安心感がある。

斜度が増し、クライミングサポートを使用する場面になるとその差は歴然で
マーカーのデューク、ツアー,などバロンと同じアイゼンシステムのビンディングは、構造上クライミングサポートを使うと、アイゼンが刺さりにくくなって行く。

特にツアーなどは、なまじクライミングサポートがバロンより高いが故に、マックスまでサポートを立ててしまうと、ほとんどアイゼンは雪面に刺さらない?!

これが、斜面の難易度が高まると大きな負担になって来る。

特にキックターン、トラバースの際は神経を使うはずだ・・・

僕はと言うと・・・問題ない。
もっとも、直着けのアイゼンのメリットは解っていたが、直着け故にもっと歩行時に引きずりがストレスになるのではないかと思っていたが、思った以上に進行方向への抵抗は少なかった。

というのも、アイゼンの取り着け位置は出来るだけ爪先よりに着けたかったが、
VERTICALのプレートの関係上ほぼブーツセンターの真下に取り付けた。
それでもTLTの構造上、ブーツの爪先を支点に稼働する為、さほど違和感は無かった。
コレがバロンだとトゥーピース先を支点に、アイゼンは踵の後ろだから、
ヒールを上げた際も、下ろしてアイゼンが効いていても、支点から遠い為に不安定感は否めない。
※つまり支点とグリップ部まで距離があるため,ずれ易いのだ。
※滑落経験者としてはコレが嫌で直付けアイゼンにした経緯がある。

また、斜度の少ない移動の際も、爪先支点の可動は歩行に近い感覚で移動出来る。
何しろ足裏に何も無いのは、ストレスが少ない。

このブーツのウォークモードは後方に15°しか可動が無いのだが
コレが登坂時の大きなアドバンテージになる。
※最近のツアーブーツは30°位

人によってはラッセル時など操作しにくくなるから、使わないと言う人もいるが
僕はコレ無しは考えられない。

というのも登坂時は小股で行く人も入れば、比較的大股の人もいるが、僕は比較的大股のためか、スキーを大きく踏み出すとどうしてもブーツのバックサポートに脹ら脛が押し返されるのだが、この時ウォークモードだとストレス無くスキーのヒール側に荷重が掛かり、グリップしやすい。
※スリップというストレスがほとんど無かったのは、アイゼンとあい余ってこのウォークモードも理由の1つだと思う。

後、バックサポートが後ろに動くというのは、只立ち止まっているだけの時でもストレスが少ない。
アルペンブーツであればどうしてもふくらはぎにバックサポートが当り、膝をやや曲げてでしか休めないが、ウォークモードのおかげでそう言ったストレスが一切無いのだ。

ココまではほとんどデメリットは無い様に思うが・・・

あえて言うなら、回転式のクライミングサポートは開放値と連動しているが故に
少し硬く、カーボンポールで回すのは少し難しい。
※今回はいちいち、しゃがんでてで回していた。

その辺は最新?のTLT RADICALでは改善されている。
マーカーシリーズもストックで上げ下げ出来る事を考えると、ちょっと面倒。
※ストックを変えるか、TLT RADICALにするか・・・

あと、慣れの問題とは思うが、やはりトゥーピースのホールのセットはアルペンビンディングの様には履けない。
そして捻れると、いとも簡単に外れる。

もちろんハイク時はフルロックするのだが、最後までロックされていないと、案外外れる。※最後のカチカチっと全く動かなくなるまでロックしていないと外れるようだ。

しかし、迷うのは滑走時。
外れるのが怖くてロックしたが、本来は開放しなくなるので危険な行為だ。
といっても、凸凹のアイスバーンが混ざった斜面では、今ひとつアルペンビンディングのような安心感はまだ無い。

この辺りは、TLTユーザーでも意見の分かれる所だ。

今回ARMADA TSTをTLTで履くのが初めてという事もアリ、若干違和感があった。
というのも、TLT化する事でビンディングスペースがかなりセンターよりに集中する為、単純にスキーはしなりやすくなる。

ビス位置で言えばバロンとは10cm以上短くなると思う。

そのため、スキーのしなりがでやすくなる分、ARMADAのようなコシの無いスキーでは、アイスで叩かれやすくなるようだ。

もちろんスキルが高ければ問題の無い話だが・・・僕にはいささかすぐに対応出来るレベルじゃなかった・・・・(泣)

硬く絞まった凸凹斜面に叩かれ、全く思った様に滑れない。
外れるのが怖くて横にスライドさせるイメージが希薄になる。

正直、滑走については全く良いとこ無しだった。
もちろん道具の問題ではなく、僕のスキルの問題・・・・

総評として
ハイク時は全く問題ない。軽量、ブーツのウォークモード、可動支点の位置
あらゆる面で、大きなアドバンテージになった。
単純に楽。もう、バロン&アルペンブーツは考えられない。
リスク、ストレスが圧倒的に減る。
道具は高いがソレだけの価値は十分ある。

やはり、山でお金が掛かるのは軽量化・・・


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