先日、友人から「チューンから帰って来た板を日干し(サーマーワクシング)したいんだけど?」とFBで連絡があった。
微細な気泡が・・・ |
僕は、今から?
もう時期じゃないでしょ?(9月初旬)
とも思ったが、
サマーワクシングなどと呼んでいるが、特に特別な事も無く
ワックスを厚めにアイロンした板を、日向に水平に置くだけなのだが。
せっかくなので、僕の個人的なノウハウも織り交ぜ、僕のやり方を伝えた。
友人は昨シーズン、僕の板と交換した際、自分の板とあまりに違うので、
僕がシーズン前にやる、夏の日干しでのワクシングに興味を持ったようだ。
彼はSAJのク◯ウンの所有し、一般的には、いわゆる上級者で、毎年技術戦に挑戦しており、わりと仲間内の中では道具の手入れをちゃんとする方の人だ。
ただ、実際の夏場のワクシングの頃合いや、ワックスの種類なども含め、解らないらしく
極、基本的な事?と思う事まで一応伝えた。
ワクシング、特にホットワクシングの効果、やり方については、「滑る」と言う曖昧で数値化しにくいため、単純に相対的評価を簡単には比較出来ない。その為
プラシーポ的なものから、宗教のような宗派まであり、迂闊な事を書くと炎上しかねないので(笑)
あくまで、個人的なやり方と、考えを・・個人的にメモがてら記載する。
僕も最初の頃はメーカーのガイドブック通りに手順を踏み
ただ、記載された温度でアイロンをかけていたし、一晩置けと書いてあれば、書かれた事をおおよそトレースするだけで、どういう状態が理想なのかは解らず、ただ、行為を繰り返すだけだった。
しかしながら、繰り返せば、それなりに経験則でいろいろ解って来る。
ともに、やり方だけのHOW TOだけでなく、個人の実験に基づく「こうした方が良い」と言う理由があるのが、
よくある一般的な雑誌のチューンネタとは違っている。
目的が解れば、素人なりに同じ作業でも工夫が出来る。
つまり、同じ作業でも、効果を上げるやり方を考え実践出来るはず
ワックスが必要なのは冬だが、下地をつくるなら暖かい(熱い)夏の方が効果が高いと思い
サマーワクシング・・・という事になる訳だ。
個人的な経験則で言えば、コノ夏の作業は圧倒的に効果があると思っている。
逆にシーズン中のベースづくりは、ほぼ不可能なのも想像に難しくない。
※もちろん暖かい環境で、ワクシング出来る方は良いですが・・
それでも、夏の気温が高い時のワクシングはやはり差があると考えている。
それは、板が冷めにくい事に起因する
温度だけで言えば、室温を上げれば同条件なようだが、実際はスキーの為にドライサウナのような環境は維持しづらく、夏のソレとは異なる。
※ソレを可能にしたのがTSUNEさんの「ぼかぽかくん」やTOKO等のサーモバッグだ。
当時、僕も真剣に制作を考えたが、我が家の居住環境がゆるさなかった・・(泣)
下地の無い新車などは条件がいいと コレくらい気泡が出て鱗状に硬化する |
上記の本やTSUNEさんも書かれていたが、ワックスは冷める過程で浸透する。
僕もそう考えている。
そう考えると、夏のワクシングの有用性が理解出来る。
要は、おでんの「大根」宜しく、ゆっくり冷める過程で味が染み込むのとよく似ている。
よくアイロンをかけ、外気で急に冷やしてしまう人をみるが、あれは浸透という点で不利だと考えている。熱々のできたてを冷蔵庫で冷やすようなものだ。
おでんは、ガスを止め徐々に冷めて行く時間が長ければ長い程味は染みる(馴染む)
夏場は、日中、日光で加熱されたスキーは、中々冷めない。
日陰に入れた時点で表面のワックスは白くなるが、ワックスは完全には硬化せずかなり長い間暖かい。
その上、気温が高いので均一に液状化したワックスがスキーを水平にする事で、浸透の時間はかなり長く取る事が出来る
※とは言うものの、硬化しはじめたワックスが浸透するとは思えないので、早く液状化させ、その時間を長く取る事が有効だと思う。
※SWIXのカタログにも在るが、アイロンは高温の方が効果が高いというのは、同じような理由であろう。
つまり、夏の気温が高い時期にワックスをかけるのは、高温でワックスが溶ける事よりも
スキーが芯から暖まった状態が長く続く所に意味が在ると考えている。
同時に、長い時間ワックスが液状化していれば、重力で浸透するのではないかとも思っている。
※浸透の要素が毛細管現象で浸透するというのも、イメージにはあったが、ポリエチレンの状態はそれほど均一のものではないようだ。
その為、夏に放置されたスキーのグラファイトソール日光により熱を溜め、液状化した状態が続き
ソールの中の空気と入れ替わる事で、ソール面に無数の気泡が出ると考えている。
※現に上記の状態で置かれたスキーのソールのワックスが、途中で少なくなることがある。
特に新車(新品の板)などは顕著で、ベースが出来た板と比較すると、明らかに吸収?(浸透)する量が違う。
一見すると、スキーをワックスで煮てしまえば浸透ししそうなものだが
過去にヤマハのファクトリーチームで実験したとかしないとか・・・?
※毛細管現象でワックスが入る訳ではないと考える1つの理由だ。
友人は中々その状態にならない為に、浸透しているのか解らないというのだが・・・
僕も浸透しているかどうかなど解らない。
ワックスメーカーでも浸透と言う考えが無いメーカーも在るようで、従来のベースづくりとは違うアプローチで持続性を持たせるメーカーも出て来た。
静電気による吸着や、ナノ化、ワックスの粘度など、さまざま・・・
ソールの厚みが1mm弱?ワックスが入るのは僅か0.2mmと言われている。
おそらく、何度ワックスをかけようが、1mm単位で浸透する事は無いと思われる。
と考えると、いわゆる「ベース作り」が、ワックスの持続性(トップワックスとの親和性?)やソールの保護(ベースバーン防止)と考えると、アイロンによるワクシングが、手間とコストに見合うかと言われると、個人的には微妙だ。
正確に比較した事が無いので、解らないが、単に滑走性を求めるならば、他にも方法が出てくるのもうなづける。
ただ、個人的にはワクシングもスキーの楽しみの1つで、明らかな違いを感じる場合「当たった!」というのが密かな楽しみでもあるので、多分僕はコノ習慣を変える事は無い・・・多分(笑)