立山の2日目
僕らは真砂岳を目指す事に。
真砂岳の稜線から向こう側を滑り、登り返してテン場まで滑る予定だ。
僕らのスキルでは、一杯一杯の行程。
昨日シールを貼ったまま放置しておいたので、凍結によるシールの接着不良の心配も無く順調にスタートした。
雪は新雪が幾分絞まった感じで、シールの効きは問題ない。クランポン無しでも問題ない位だ。
しかし、稜線沿いに高度が徐々にあがると、凍る程ではないが
雪が硬くなり徐々に風も強くなる。
雪が硬くなり徐々に風も強くなる。
それでも途中小休憩しつつ、雄大な景色を眺め、順調に高度を上げていった。(恐ろしく遅いけれども)
あと残す所、高さで数十mの所で、他のパ-ティーはアイゼンにチェンジし始めた。
しかし我々はこんな所からアイゼンでは、少々キツい!
シールの効きも良く、クランポンも付けているので、そのまま高度を上げる。
アイゼンに履き替えたパーティーは、直登し稜線に向かうが、我々はガレ場をトラバースし、少し下がった所で稜線を目指した。
雪は乾燥しているが硬く、まだハイクの跡も浅い。
まだ余裕の序盤・・・ |
距離にして30m程のトラバース。
しかしガレ場のため、浮き石が雪で凍っている様子。
太い板はこういった硬い斜面のトラバースにはめっぽう弱い。
ブーツが斜面から遠くなる為、どうしても不安定だ。
その上、浮き石の上はスキーを載せる事が出来ない。石の少ない所を縫う様に板を置いて行く。
一歩踏み外せば・・・ガレ場でミンチだ。
ストックくらいでは止まる傾斜じゃない。
強風が吹き上げる中、この30m。
生きた心地がしない・・・・
先行する2人は渡りきっている。
既にボクの視界には無い・・・
つまり、ここでボクが滑落してもしばらく気がつかないだろう・・・・
そんな中、一歩ずつ神経を擦り切らせて進む。
こういう厳しいシチュエーションになると、つくづくマテリアルは完璧な状態でないといけない事を痛感する。
少しでも遊びが有ったり、信用出来なかったら進む事は出来ない。
2人に遅れる事、数十分、ようやく稜線に出るが、一層激しく風が吹き付ける。脇の下のベンチレーションが慣れないグローブで締める事が出来ず、吹き付ける風が体温を奪う。
ようやく2人と合流し、ドロップポイントを探す。
他のパーティーの様子を見つつ、ボクからドロップイン!
裏斜面は風もなく見る限りはフラットな斜面。
予定のポイントまで数ターン。今シーズンの初滑りだ!
後の2人のビデオを撮り、ビデオをチェンジし、ボトムまでもう一本。
実はこの2本が、今回のトリップの全て・・・・(泣)
条件はサイコーだったが距離で200m?
贅沢な初滑りだった・・・・。
当初ボトムで食事と考えていたが、天候の変化が早いためすぐに登り返す事に!
で再びシールを貼り直すが・・・
「シールつかね~!」と聞こえる。
彼のシールはcoletexの吸盤タイプなので、最初だけ付き難いだけだろうと思ったが、つづいて同じGeckoの友人も
「つかね~」
いつもの調子でシールを広げた所で、強風が粉雪をちりばめ凍結したようだ。
全く、グルーが粘着しない。
ボクも1本目のシールは広げてしまったため、トップの一部しか粘着していない。テールのベルトを交換しているため、ベルトのテンションでハマっているだけだ。
もう片方は慎重に4つ折りにしたシールを剥がしながら貼って行ったので問題なく貼れた。
※G3等の通常のグルータイプのシールならエッジに擦り付け、凍った雪を削ぐ事で貼る事が出来るのだが、
GeckoもColetexもその手の荒技が効かない・・・
3人ともシールに不安を持ちつつ登り返すが、Geckoの友人は途中で諦めアイゼンにチェンジ。
彼はノーマルのテールバンドなのでバンドによるテンションは期待出来ない為、シールでの登行は諦めるしかなかったのだろう。
coletexの彼は問題ない様子で順調に登り返している。
で、ボクは・・・・
右足のシールが体重をかけるたび
「ズルっ」
「ズルっ」
トラバース気味に横にテンションがかかると大きくスキンがズレル。
それでもストックで保持しながら、なんとか少しずつ高度を上げる。
やはり、道具にトラブルが生じるととたんに窮地に陥る。
天候もだいぶ厳しくなり雲の動きも速い。
予定の何倍かの時間をかけようやく3人が稜線に戻った頃には視界は数十m。
気持ちよく滑走出来る状態ではない。
それでも、滑走体制に切り替え滑走準備。
途中、ホワイトアウトする中iPhoneのGPSアプリで方角を確認しつつ
降下を始めた。
その後も視界が回復する事も無くテン場へ・・・・