2015/04/06

スキーブーツの「冷えの構造」を考える#1

スキーブーツのシェルは、ポリウレタン樹脂が主原料として使われている。
同じプラスチックでも、様々特性も違ううえ、メーカーごとに若干の違いはあるが基本的にプラスチックという素材は断熱等の温度をコントロールする事には向かない素材だ。
金属ほどでは無いものの、決して伝導性の低い素材ではない。
※僕は化学の知識は何も無いので、ネットで調べ実践してみるのみ。
もしも間違いや、もっと効率的なアイデアがあれば、是非レス頂きたい。

熱の伝わり方というのは3つ(だそうだ)
  1. [伝導熱]
  2. [対流熱]
  3. [輻射熱(放射熱)]


[伝導熱]
熱は個体液体気体の順で熱を伝えやすい。
特に最近のスキーブーツは、伝導性が高い様に思う。

[対流熱]
熱を蓄えた気体や液体が移動する事で、熱が移動する事を指すのだが
スキーブーツの密閉空間では、ほぼ無視して良いだろう。

[輻射熱]
これが一番解りにくい、空気や物質を介在せず、熱が電磁波の形で物質から物質へ伝わる現象。太陽光により感じる暖かさは、空気が温められて感じているのではなく、太陽の熱エネルギーが電磁波の形で届いている結果。インソールやインナーブーツに銀色の素材、アルミ素材が使用されるのは、この輻射熱の利用を促す為だと思われる。

そして、熱は高い所から低い所へ移動するという事。

よって、スキーブーツの場合、足の体温が[伝導]もしくは[輻射]により外気に触れているシェルから、逃げている割合が多いと考えられる。保温を考える場合、如何に熱源から近い所で、熱の移動を妨げるかが重要と考えた。

しかし、スキーブーツはデッドエア(空気層)を作るのが難しい。
近年、上級者用とされるブーツは、その性能と引き換えに、フォーミングが難しくなるくらいタイトな形状になり、インナーブーツもどんどん薄くなっている。
タイトフィット=スポンジパッドの減少となり、実質的な空気層の減少に繋がっていると思われる。
ましてや、厚いソックスを履く事などスペース的にも難しく。たとえ履けたとしても、逆に血行不良による「冷え」の心配が出る。
※ウェアでいう所のレイヤリング的思想は有効だが、スペース的な理由から、かなり限定的される。個人的には、スマートウールのミディアム厚のソックスが、1stレイヤー。
長期のBC時はその下にスキンメッシュを履く。その分スマートウールは薄手の物に・・

昔のブーツもさほど暖かいものではなかったが、ウエアが寒い記憶はあるが、今程、ブーツが冷たかった記憶は薄い・・・当時のブーツは、長靴形状で、隙間をフォーミングやスポンジパッドで埋めてフィット感を出していたので、今のブーツ程、足の形状にそっていなかった分、スペースがあり、使われるスポンジも今程、高密度でないため、断熱層として機能が高かったのかもしれない。

となると、現行のスキーブーツはタイトな形状故に、[対流]以外による熱損失が高い。
インナーブーツの外皮と僅かなスポンジが直接シェルにダイレクトに触れているのだから、足の熱はどんどんシェルを通して、外気に逃げてしまう。

そして、インナーブーツは他の装備に比べ透湿性が低い。
要は蒸れるのだ。結果、汗は熱の伝導を高める。ますます冷えやすくなる。

あと、意外に熱の損失が大きいと思われるのがバックル。
一般的なバックルの素材はアルミ。金属の中でも熱伝導の高い素材だ。
コイツはリベットやボルトにより固定されるため、貫通したボルトやリベットがダイレクトにインナーブーツに触れる。
大きなラジエターを付けてブーツ内の熱を放熱しているような物だ。

某保温用アクセサリー(マ◯キー)も今期からバックルの露出をやめたニュータイプになった。おそらく理由は同じだろう。

マス◯ーの様にシェルの外に伝導性の低いとされる外皮(ネオプレンゴム)を巻く事で、保温というよりは、シェルの外気との温度差を幾らか低くおさえ、伝導による熱の損失を幾らか押さえる?

そう言った点ではマス◯ーは、アプローチとしては正攻法だが、以前も書いた様に価格程の効率は高くない。
そもそも、主材のネオプレンゴム(クロロプレンゴム)もウエットスーツなどのイメージも在り保温性が高いようなイメージもあるが、数値的にはポリウレタンとさほど伝導性は変わりなく、構造、素材からも大きな期待は難しいように思う。

つづく・・・?

4 件のコメント:

  1. マスキーを付けると、ブーツに着いた雪が溶けないのがよいのだと思います。
    私のブーツは隙間から雪が入ってくるのか、バックルから逃げた熱が伝わるのか、とにかくバックル回りが凍り付きます。マスキーを付けるとこれがなくなるのだろうなぁと思うと断熱以上の効果も期待できるかと。

    あとは、電熱線で熱量を追加供給しちゃうのも最近また見かけるようになりましたね。

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    1. kaizoさん、レスありがとうございます。

      最新のマスキーはフルカバータイプになり、効果ありそうですね。

      熱源を能動的に確保するのは魅力的ですね。
      WCなんかでも練習時はつけてる選手もいる様ですね。

      ただ、WCレーサーの足下は・・・我慢強いだけなんですかね?

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  2. WCレーサも我慢強くないと思いますよ。
    我々よりたくさんの時間、その環境で活動するのですから。
    きっとなんかやっていると思いますが、、、

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    1. 常々不思議だったんですよね。

      DHなんかは相当な時間待機させられる場面もあるでしょうし、
      彼らのブーツがプロパーよりも暖かそうな要素は微塵も感じませんが・・・暖かいフォーミング材があるとか?

      選手用は無いようですが、ラング辺りはヒーターケーブル用のストラップやホールが最初から付いている事からも、ヒーター需要はかなり高くなってるのかもしれませんね。

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